Choi Baekho
韓国と日本で活動する気鋭の映画監督。人間ドラマに焦点を当てた作品で注目を集め、深い感情と繊細な演出で評価が高い。代表作「三木課長 完全版」や「もしもしかめよ(48HFP OSAKA 2025)」などでその才能を発揮している。
"一瞬の感情" をどう切り取るか
A:映像制作会社で撮影や編集、広告用の写真などを手がけています。小さなチームで動いているため、企画から撮影、編集まで一人でこなすことも多いです。その分大変ですが作品作りの自由度が高く、自分の感性を試す場にもなっています。
A:ネットを通じて「みんつく」の活動を知りました。映画が好きな人々が自由に表現できる環境を作っている点に強く惹かれました。"映像を通して人とつながる"という理念が、今の自分の方向性と重なったので参加を決めました。
A:仕事では「依頼されたものを形にする」ことが多いのですが、みんつくでは「自分が撮りたいものをどう撮るか」ということを根本から考えられます。責任は大きい分やりがいと創作の喜びを感じます。
A:最初は短い尺の中でどう物語を伝えるかに苦戦しました。でも、限られた時間だからこそ "一瞬の感情" をどう切り取るかという感覚が磨かれましたね。短い映像だからこそ常にキレイに照明を使うことに気を使っていました。
A:最初は「奇抜な設定」や「意外なオチ」に頼っていた気がします。でも回を重ねるうちに、人の感情や選択の裏にある"静かなドラマ"を描きたいと思うようになりました。カメラも演技も"抑える"ことでかえって伝わるものがあると気づきました。
A:当時、韓国のポン・ジュノ監督の『ミッキー17』という映画の予告編を拝見して、多数のミッキーが登場するアイディアに惹かれました。主人公の「三木課長」という名前もそこから来たんです。もちろん映画公開前だったのでストーリーは異なります。身近なサラリーマン像を題材にしながら、人間の"選択"や"諦め"をテーマにしたかったんです。当初は小さなネタのつもりでしたが、三木課長を演じる林一彦さんの存在感が物語をどんどん深めてくれました。
A:現実味とSF的な要素のバランスですね。表現したい演出がたくさんありましたが、実現が難しくシナリオに落とし込めなかったこともあります。それでも可能な限りどこまで現実を壊しても観客が共感できるか……。そのラインを探るのに時間がかかりました。
A:いいえ。一話目を撮った時点では全く考えていませんでした。でも撮影後に「この世界にはまだ続きがある」と感じたんです。また、チームや周りの反応も良かったので、続編を撮る大きな後押しになりました。
A:同じキャラクターを違う角度から描く難しさと面白さですね。一人の俳優が"別の自分"を演じる構造は、撮っていても不思議な感覚でした。現場では即興的なやりとりが多く、まるで実験のような撮影でした。
A:48時間という制限の中でも、映像のトーンと感情のリアリティには一番こだわりました。特に、ケンダマという日常的なモチーフを"命を懸けた勝負"という非日常に変えることで、人間の弱さや希望を描きたかったんです。撮影ではライティングと色味を細かくコントロールし、スローモーションの瞬間に"生きる"というテーマが伝わるように意識しました。
A:チームの雰囲気はとても穏やかで、それぞれが自分の役割を理解して動いてくれました。限られた時間の中でも不思議と焦りがなく、全員が同じ方向を見ていたと思います。特に印象的だったのは、ラストシーンの撮影です。主人公の妻がケンダマを手に取って夫を助ける瞬間、あの一瞬に、この作品のすべてが凝縮されていたと思います。
A:どんな小さなチームでも、本気で作れば心に届く作品になる。今回の上映が、誰かが"私も撮ってみよう"と思うきっかけになれば嬉しいです。応援してくださった皆さん、本当にありがとうございます。